Cラボ夏休み親子教室!「リスクについての講義の巻」
午後からはリスクについての講義。
今回は実際に中部大で講義された内容だそう。
冒頭から健康はいいことであるというような自明の理についての是非のお話。これは深く考えさせられました。
まずはリスクについての定義、一般的にリスクとは危険なことが起きる確率と起きた時のダメージの大きさの積と言われています。
今まで水俣病、悪性中皮腫(アスベストが原因)などの公害が原因であっても、未認定の人は多いという話や、
ガンの死亡者数はここ30年で3万人増えているという事実。その原因と思われるもののリスク。たばこは吸わない選択ができるけれど、食べものは食べない選択はできないね、とか。
交通事故については、2001年に危険運転致死傷罪が制定されてから、事故死者が戦前まで減ったことから、リスクはコントロールできることがわかっているということ。
男女の自殺率の差についてのお話。女性の自殺率が社会的な変化にも左右されないのは、結婚や出産など、常に自身の環境の変化に対応しているからではないかという意見も出ました。
原子力発電所や、核兵器実験といった破滅的で未知なものに強い規制を求める市民の意識は健全であり、大切にしなければならないということ。
面白いなと思ったのは、エベレスト登山家の3人に1人は亡くなってしまうというような確率が出ているのに、それでも山に登る人が後を絶たない理由について。自発的な行為に対しては強制される行為に対して1000倍のリスクが許容されるそうです。
ゼロリスク論ではなく、リスクとベネフィット(便益)を天秤にかけて、選択するようになったという話や、
リスクを発生している本人と、市民が議論するリスクコミュニケーションの大切さ。
やがて、オイルショックなどの想定外要因の下では、リスク科学の確率だけで考える方法は危険であるということもあり、予防原則という考え方がドイツで生まれます。
予防原則は、例えば、大気汚染、地球温暖化などの先が読めない問題について有効であるということ。
最後に、リスクアンドベネフィットでいつも物事を天秤にかけて選ぶ時代では、社会全体が民主的にリスクをコントロールしていくことが大切だということと、やはり予防原則という考え方が、これからのリスクに対して大きな役割を果たすのではないかということを感じました。
大沼さん自身が登山家ということもあり、登山の体験談を交えながら、リスクについての興味深いお話を沢山教えていただきました。
今回の受講者は、子育てをしているママさん達ばかりなので、やはり子育てに反映させることと結びつきます。食べものや、環境への配慮、個人的には、リスクアンドベネフィットよりも予防原則の考え方で、選択していくことがより、安心できる未来へと繋げられるのかなと思ったのと、この基本的な考え方について、子ども達にも伝えていくことが大切だなと感じました。
長い間、お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
リウコ